揺らぐ幻影


市井の態度が仮に愛情表現だとしても非常に空々しいため、

二人の関係を勘違いするのは無垢な人のみで、

聡明な近藤に何ら心配はないはずだ。


  ……。

近藤洋平という王子様が求めるお姫様は田上結衣でありたい。

例えば、眠る前に自分のことを一秒でも考えてみてくれたら嬉しい。


物理的な意味ではなく、神秘的な意味で彼の心の傍に居たいと願うことは幼稚で変なのだろうか。

きっと女子高生をしているあの三人は共感してくれず、

彼女たち目線だと、好きな人と早く夜の事柄を結ぶことが最優先されることのようで、

クラスメートの大人たちの見解は、お子ちゃまには納得できない。

好きとか愛情レベルを、何をもって最高潮というのか人それぞれ判断基準が異なるらしい。

どうか近藤のものさしが一緒でありますようにと祈るしかできない。


恋愛をしたいだけなのに、学校では色んな人と価値観で衝突しがち、

今日のは絶対ヤキモチだった。
王子様と仲良しな結衣へのちょっとした制裁。


違う意見を吸収したら、自己が明確になっていくと信じよう。

明日、新しい自分になるステップだと対応し、

こうやってない頭で頑張って考えるだけ、大人になるための糧になればいい。

少なくとも今の結衣は昨日よりも、中身の質が向上したはずだ。

初めから完璧だと後は劣るしかないのだし、未熟でナンボ。

まだまだこれから、マイペースに進化したら立派じゃないか。


頑張りたい。
自分が正しいとは思わないが、彼女たちが間違っているとは思わない。

つまり、どっちも必要で、バランスが難しいだけでそれが思春期だ。


お子様だっていいじゃないか。
近藤が好きになってもらえる予定だ。


アイマスクをつけて暗闇を作る。

ベッドの中で考えるのは好きな人のことばかりで、笑顔になるばかりで、

時計が作り出す時間は、近藤が好きになるばかり、

ほら、お安い結衣はなんて幸せ者なのだろうか。


乙女心を振りかけた空の輝きは綺麗だ。

好きが一つ増える分、星が一つ増える気がするくらいロマンチックな夜景で、

幻想的な月光の筋が美しく、恋人たちが寄り添うにはぴったりだった。


…‥