――そもそも、だ。
カジュアルに考えて、大好きな男子(近藤)が居て、親友(里緒菜)が好きな男子(大塚)に告白されておきながら尚、
高校で一番人気のある男子(市井)に好かれるのは、さすがにシュガーライフ過ぎて、
ヘルシー志向の結衣には胃もたれしそうだ。
ミラクル続きが素晴らしい愛され少女ならば、天性で学年ナンバーワン男子に溺愛されるのがお約束だろうが、
残念なことに彼女は素直でもないし性格も悪いし可愛いげもなく、
つまりメルヘン主役には抜擢されない結衣は、
創作物語ばりにモテないといった見解が妥当だろう。
そもそも、結衣は近藤だけに恋愛感情を持たれることが夢なのだ。
きっとクラスメートの女子の四割弱は、何人と付き合ったか、何人と関係を持ったか、
何人に告白をされたかどがステータスであり武勇伝、
大人な嗜好はお子様な少女にはまだまだ分からない。
例えば十人と交際するよりも、近藤ただ一人の彼女であることが幸せ。
幼さはある意味、ピュアガールに達するのかもしれない。
んー……
そもそも市井には大好きな彼女が居るのだから。
そもそも田上結衣は雑魚キャラなのだから。
二人の仲を勘違いするクラスメートたちはお子ちゃまだと思った。
ううん、どうでも良くなってきた。
近藤が好きだからホワイトデーまで精一杯頑張って、恋人になりたい。
このくらいのライトな恋愛で満足だ。
夢物語のように結末はハッピーエンドであるなら大丈夫。
甘い香りのするクリームを塗った肌で、内面からピカピカ輝ける女の子になりたい。
彼女になりたい
早く、彼女になりたい
単純な発想のみの恋を叶えたい。複雑なことは置いとこう。とりあえず前に進もう。
忘れ物があったとしても、あの人なら一緒に拾ってくれるから大丈夫。
しかしながら、一度あがったゴシップネタはそうそう無くならない。
恐らく学年の皆には既に市井と結衣についてヘンテコな噂は知れ渡っているのだろう。
厄介で気が重たいけれど、相手が本命ではない分救われたと感謝する結衣でもある。
だが、意中の人に軽い女だと誤解されると非常に困るし迷惑でしかないので憂鬱だ。



