揺らぐ幻影


違うと否定すればする程、詮索が始まる。

そうだ、自分は制服を着ているのだとようやく結衣は気付いた。


今は付き合ってようがなかろうが、抱かれていようがなかろうが、

単純にあの田上結衣に浮いた噂をイジっているだけなのだ。


  ……。

複雑な心境で三人の同級生を見据えた。

彼女たちはある意味、短絡的に考えれば大人の基準値を満たしていると言えるであろう。

女として、違う人。
だから、結衣を見下している。


「本当にイッチーとしてないの?」

どうしてそこに固執するのか、それが思春期の幼さだと断言できる可能性が高いと主張しても間違いではなくもないのかもしれない。

結衣にはなんとも答えを導き出せないが、若いのみではなく、

若いからこそ理性的でありたいとは思うような思わないような。


教室の後ろに下げられていた机が前に運ばれていく。

上げられていた椅子が床に戻って整頓されていく。


「ギャグじゃん、ないよ、あはは」

へらへら笑うも正直面倒臭かった。なぜなら楽しくないからだ。

今、結衣が頑張りたいのはするしないとか、年齢的に焦る焦らないとかではなく、好きになってもらうことで、

繋がりとは、体的な意味ではなく心的な理由で、

つまり、彼女たちが根掘り葉掘り探りたがる話題など、素直に言えば全く関心がなかった。


しかしながら、グラビア三昧の男子よりも女子同士の方がえぐい話を好んだりする。

クラスメートと着眼点が合わない結衣は女子高生としてズレているのだろうか。

その手のテーマの盛り上がりポイントがよく分からない。

恥ずかしいと思ってしまうし、こちらとしては無垢な恋で満足なのだけれど、

彼女たちからすれば、結衣の恋愛は物足りないし青春できていないと見做されるらしい。


「てか結衣って胸ペタちゃん」
「彼氏できたら困るねー」

意地悪だなと凹んだ。
どういった思考でこんな発言をするのか、あんまり共感できないし、

どうして体的なことばかり重要視するのか尋ねてみたかった。


なんだか皆に比べて子供なのかなと不安になる。

興味がないというか、全然まだまだ考えられない。

だって、――