もちろんそう。
結衣が近藤に想いを寄せているから、立派な人物に位置付けているだけで、
彼は他の男子とたいして何も変わらない。
なぜなら皆良いところがあり、皆惚れるべき魅力を一つは持っている。
つまり折しも好きになった人が近藤だっただけで、他の人に恋をしていても同じだった?
愛美のお弁当箱に住むクマがこっちを見ている。
「、……おはよ、近藤くん、市井くん」
結衣の声は流れ星に音を付けるには最適な色、演奏会の時に担当していた鉄筋のような可憐なそれは彼女ながらのもの。
気持ちを拾ってくれた証拠に近藤が軽く微笑んでくれたような気がした。
……、
考えてみて。
前は緊張しまくりで好きな人に挨拶なんて無理だった。
その他に分類される市井は意識をしなくても大丈夫だから気軽に話しかけられて、
なんでもかんでも流暢にお喋りをできる関係になった一方、
近藤なんて、今みたいに先に彼の名前を呼ぶなんて不可能だった。
おはようはおはよう。
目を合わすだけでも一大事だった。
それが今、違和感なく言葉を交換できるなんて素晴らしいではないか。
痛い象徴、偶然奇遇作戦の結果だ。
この恋愛、近藤要素を抜きにして恋愛だけを見るならば、
愛美や里緒菜の良さを再発見できたのは単純に結衣が恋をしたせいだ。
これは事実だ。
きっと別の男の子に惚れたとしても二人は同じように協力してくれたはずなので間違いない。
作戦を通して身についたのは恋愛スキルともう一つ、
友人の優しさを当たり前だと思わない大人術だ。
どちらもまだ取得中という方がしっくりするだろう。
恋愛、結衣にとって女子高生の恋愛はたとえ一時だったとしても、
人生にかえってくるモンだと思う。
大人になった頃の自分の一生を左右する基盤にはなっているモンだと思う。
……とはいえ、やはり今の結衣による空想なので、大人たち角度だと説得力に欠けるのは当然だろうが、
こうやって意味不明に考えることが、大人になるための勉強なのだと思う。
なんとも青臭い悩み事は漢字は同じでも空模様とは絶大な違いがある。
爽やか、溌剌。元気いっぱい太陽はやっぱり眩しく地上を照らす。



