結衣は憐れな生き物で、
普通、自分のことを一生懸命真面目に話してくれたなら、ありがたがるべきなのに、
ううん、素直な子たちは涙したりするはずのシーンだったのに、
そこをキョトンになる彼女は、どれだけ可哀相な人なのだろうか。
それでも、友人になりたいのはやっぱり愛美や里緒菜のような人柄で、
冗談ばかりで適当に見せかけ、本当はしっかり信頼しているあまのじゃくさが好きだ。
男の子も同様に近藤は恋愛について暑苦しく語ったり、
人生、未来、過去、友情について披露したりしない人だからこそ惚れた訳だ。
薄々感づいている。
結衣の初恋ジャンルが青春にしろ恋愛にしろエッセイにしろ、
アツさが足りないことくらい。
だって愛美や里緒菜とお約束の友情論や恋愛観で、熱弁を奮ったことがないし、
好きな人・近藤と過去とか夢とか語ってもいないし、市井に深すぎる相談なんかしてもいないし、
早い話、典型的な高校生としては定番エピソードが不足しまくっているのだ。
しかし、なぜだか彼女は別に必要性を感じない。
ここまでくれば、なんだか結衣は自分の性格がよく分からなかった。
同級生の熱血がせっかく格言をくれたのに、ポカンと眺めてしまっていたなんて、
やっぱりビッチだと呆れるしかなかった。
また、どれだけ心が腐っているのかと不安になった。
でも、言い訳タイムに入るなら、
「あはは、全然。元気元気、履歴書?、健康の良好って元気って間違えるよね、はは」といった冗談に対して、
「無理しないでいいのに。田上ちゃんは強いね」なんて素敵な言葉は欲しくない。
オチがないなら聞きたくない。
ウケ狙いの発言をしてくれないと、笑いに繋がらないから楽しくない。
結衣は人を癒したり勇気づけたりするお喋りがしたいんじゃなくて、
愛美や里緒菜同様に、いかに人を爆笑させるかがモットーだ。
熱血には熱血の良さがある。
だから熱血は好きだ。
ただ愛美と里緒菜みたいな人の方が大好きだ。
きっと田上結衣で過ごしてきた薄っぺらい十五年間の経験がそうさせるのだろう。
眩しい太陽は熱血みたいに力強くて綺麗だったけれど、冬なのに主張しすぎて若干欝陶しかった。



