揺らぐ幻影

―――――――
――――

女子高生は街中と調和してこそ青春だし、オシャレをする義務があると中学生の頃から勝手に信じて憧れていた。

思春期はキラキラするモンだと低次元な発想を今も変わらず信仰しているため、

メイクも髪も下準備をして少女は着飾る。


土日にかけて決意をするも、スイッチ一つで変身できないので気持ちは凹んだままだが、

それでも愛想笑いが武器の乙女は大好きな学校に居た。

なんとなくテニス部の朝練を見てみようと思い、七時過ぎに運動場をさまよってみているところだ。

体操服を着てトラックを走る生徒たちが、何部なのか分からない。
お腹がすかないのかと疑問を一つ。


隅っこにある枯木たちは風邪を引かないで立派なことだ。

この寒い中頑張っている姿を眺める結衣は、一人お散歩を続ける。

  テニ部、中学

ラケットを振る練習も単調で、一生懸命で凄いと小学生の作文のような感想しか浮かばず、

何かにひたむきに励む人たちを前に、いまいち感動できない彼女は、

やはり素直さが欠落している疑惑が強い。

情けないとため息をついた。

こういう心境の時は、たいてい爽やかな生徒たちから希望を得ると決まっているのに。


自然と目線は下に落ちるルール。
普段はきな粉みたいな色の土は、昨日の雨水を含んでいるのか若干黒糖みたいな風味になっいる。


そういえば、土を踏むことは体育以外で滅多にないことに気づく。

自宅に学校、アルバイト先や友人の家、いつだって目的地に向かう場合アスファルトやコンクリートで舗装された道しか歩いていない。

見上げた空は青いから、余計に不気味に思えた。


ここに立って自分の意志で進んでいるつもりが、いつだって誰かが助けてくれているのだ。

つくづく贅沢者だと、へんてこなことを十五歳にしてようやく発見した。

きっとこういうことは小学生で把握しておくべきだった。


時計と校歌、舞台のサイドにスピーカー、それから元気一杯な学生たち、体育館はどの学校も似ている。

  、バレー

バスケ部とバレー部だけが使用しているらしい。
床にある窓の隙間から覗いてみた。

一体、結衣は朝っぱらから何をしているのか。




「田上ちゃん!」