たかがメールの時間は決して普通でなく、二ヶ月前の片思いをしていた頃からすれば特別だと、
好きな人と関わることに意義を唱えようが、独りよがりでは無意味で、
ううん、むしろ迷惑になる場合があって、相手の気持ちは見えない。
里緒菜や大塚は、どんな風に結衣と居たのかを知らない。
好きな人だってそうだ。
《小学校ってほとんどクラスん皆八十点以上じゃん。テスト勉強せずになんであんな優秀? 若いって恐怖》
こんな文章、何をもって近藤が送ってくれるのかは今世紀最大の謎だ。
ただ、好きな人は弱った心を優しく包んでくれる大好きな人となる。
《分かる! 若さ無敵すぎ笑。でも理科と数学と社会はいっつも悪かった》と送信すれば、
《えー! 国語以外全部じゃん!……ってツッコミ待ち?》と受信して、
今度は結衣が《そこはベストは「天然なんだー」だから笑、洞察力。でも図工得意》とおどけて打てば、
同じように《「お茶目だね」笑。図画工作。てかPCできる? 訳分からん》と愉快に返してくれる。
等しいテンションに似た者同士なような気がして結衣が幸せを得ることは、
彼立場だと困惑に達するのだろうか。
《持ってない。小学校んインターネットに繋ごう!的なので意味不明だった》
《同意! 矢印?、マウス良い感じに動かないからイラっとした笑。服コ実技PCのテストあって勝てる気しない》
……、
PCの実技?
服飾コースのことを詳しく知らないため、話の流れが難しいも、
《そもそも電源の付け方いまだに謎。機械と戦うんだ?》と打った。
《負けっぱ、まずマウスじゃなくペン使う時点でなかなか奇跡じゃね?笑テスト代わって》
デザイナーは紙さえあれば良いのだと思っていたが、時代の流れかPCを使うそうで結衣はその事実に驚いた。
家には父親の会社用のものしかないし、授業でも得意な人に課題をお願いしていたくらいのレベルで、
服飾コースはテストの仕方さえ異なるとは、凄いなと尊敬するし世界が違うような気がして焦る。
《ハイテク! 多分うちらアナログ、平成に取り残される笑。むりむり、私まだ教科書すら持って帰ってない》
携帯電話を指先で弾き、文字盤に軽いため息を乗っけてみた。



