片思いにありがち、恋に頑張り輝く少女は意中の彼以外の人間から好意を寄せられることは真の話。
好きな人が居る乙女はとにかく雰囲気が変わり、非常に魅惑的になる。
ヘアーメイクに奮励するので容姿は当然可愛くなるのだけれど、
ひたむきに一生懸命な言動は少年をときめかすには充分なのだから、
世間でいうモテ期は必然と言えよう。
……。
どうして里緒菜は結衣を責めないのだろう、嫉妬を剥き出しにしないのだろう。
ガキ臭く感情を爆発させてくれたらいいのに、十六歳の癖に生意気じゃないか。
ああ、そのような要望さえ自己中心的な女だという印だ。
自分が楽になりたいから、相手にだめなところを求めてしまう。
彼女が意地悪なら、己は救われる、
こんなに嫌な女を、なぜ大塚は好きになったりなんかしたのだろうか。
マイナス思考のループを払ったのは、もう一人の友人から電話の着信音で、
結衣は直ぐさま声を耳にあてた。
『ごめんバイト、さっき何だった?』
「お疲れ。大塚に告白されて――」
メールでと言い終わる前に、『それ里緒菜に言った?』と愛美に被せられ、嫌な予感につま先がピクリと痙攣した。
「言った、愛美、出ないし……先、に、里緒菜、でん、わ、して」
恐る恐る事実を音にした。
その先を知るのが怖いが、九割当たるだろう。
『ああー、先に里緒菜、あーそっか、うん、』
ほら、命中。
つくづく結衣は自分が嫌になる。
もう分かってしまった。
里緒菜が大塚を好きなことを愛美は知っていたのだ。
恐らく里緒菜に恋愛相談をされていたのだろう。
そして、これまた分かってしまっていた。
いつだって二人が口にするのは、
『結衣ぽこりんのことだけ考えてたらいーよ!』
結衣は片思いに専念しろということだ。
赤ちゃんが絶対的に母親に守られるように、結衣の恋心をすくすく育ててくれるのは愛美と里緒菜で、
二人は無菌状態で慈しんでくれる。
「、ナシでしょ普通に」
あまりに愚かだ。マヌケだ。最低な女だ。大嫌いだ。
きらり、Yのストラップが揺れた。



