モロ義理だったもん
そう、ラッピングは透明のセロハン袋にケーキを放り込んで、
パン屋さんで貰った針金で適当に止めただけで本命らしさゼロ、
義理というのもおこがましい挨拶程度のやっつけ感覚だったのだ。
「あげたよ、でもただの後日談だし。お歳暮的な」と、甲高い声でまた否定する結衣は、
やはり自身の好かれポイントが分からない。
とはいえ、彼女は中学生男子が望むようなピュアガールではないので、
ある程度、客観視する知能は取得しているため、自分のちやほやレベルは心得ている。
そう、アリだとかグっとくるだとか、男子に好意的に感じられる点がない訳ではないことくらい余裕だ。
それが普通に歳を重ねた女なのではないだろうか。
男子が妄想する『可愛いのに己の容姿の魅力に本気で気付いておらず、全然モテない〜ッと悩んでいるくらいの、
自身に鈍感な天然乙女が居るのなら、
日常生活を送れば外見に疎いはありえないと踏んでいる結衣は、
是非ともお目にかかりたいばりに不愉快だ。
大塚がデビューする前なら、告白されるのはなんとなくナルシストに納得する部分があるのだけれど、
変身した彼はちょいちょい先輩に逆ナンされているのを見かけたので、
垢抜けた大塚という人間からすれば、もっと上が狙えるはずだ。
例えば愛美。
奥レベルは無理だと判断するあたり、結衣はやはりエンジェルでないと言えよう。
ため息混じりにふわふわしたお花を眺めた。
小さな花たちが集まって甘く香るチョコレート、生花を嗜める人になりたいはずが、
口の中に広がるのは、何故だか苦い味だ。
『好きな子しか受け取らないって』
「ほー? なにその紳士、時代錯誤、熟語。ラッピングから義理、だよ」
『この際付き合えば?』と、笑う里緒菜がからかうような口調だったので、少しカンに障った。
いつもの冗談でも結衣は近藤が好きなのだから、心外でしかなかった。
だから「ぽこりんだもん!」と、強く否定したのに、
しつこくモテ子だと囃してくる里緒菜は、なんだか意地悪な気がする。
こちらは断る返事を聞いていて、けれど彼女はくっつけようとしてくる。
私ぽこりんだもん



