暗い予感の疑惑はある。
しかし不安に溺れて何になる?
無意味なことに時間を割くのは青春の一秒が勿体ないため、
好きなら頑張るだけだと愛美と里緒菜が教えてくれたのだから、
この片思いで結衣が消沈することは安っぽく言えば二人への裏切りだ。
誤謬なら得意だ。
始まりはアレでも今は結衣を知ってくれていて、彼は彼女と関わってくれている。
そう、嫌ならとっくの昔に今は終了しているはずだ。
教科担当の先生が来なくて退屈な結衣は、前の席の子の背中を突いた。
元々三人は放流派、ゆるゆるクラスに溶け込む方で、
がっつり固執してグループに閉じこもると絆は深まると理解しているも、
もう高校生なのだから視野を広げたい子の集まりだ。
現在は片思い中のせいでビッタリ三人で居るだけで、本来は他のグループに分散したり、合体したりする。
そんな愛美と里緒菜の感覚が好きだし、仲間に執着しない感性が好き。
「お題、もし初デートするなら?」
振り返った生徒はE組の綺麗ドコロ、奥のペアだ。
顔の造りは普通でも、セルフプロデュースが上手なせいか雰囲気が華やかなので、
必然的に結衣の中では憧れの対象となっている。
「えー、何、んー、でもフツーに映画? 結衣ちゃんは?」
突然のむちゃぶりに話を合わせて食いつくのは、きっと女子の仲良しスキルだ。
「映画! 恋愛系ナシ〜、他人のラブラブ気まずくない? アクション系が無難」
「あ、分かるー。あたし中学ん時にエロいんなってガチ気まずいってゆー、沈黙!」
「あはは、子供向けアニメなら安全?」
もしもの空想は盛り上がるガールズトークの醍醐味で、
二人は女子高生らしく笑いお喋りを進める。
「お題。一緒に服屋さん入れる? 私ムリ、だって向こうに試着されたら立場なくない?」
「結衣ちゃんお題必死、ウケる。でも分かる、しかも見るもんなくない? お客から大注目で気まずい」
大型ショッピングモールはデートの定番コースなのでアリだと認定した。
むしろ土日はカップルが多く、どこにも居場所がないので独り身は切ないと囃す。
片思いを嗜むのは、こんな風にどうやって上手に妄想するかなのかもしれない。



