間接照明の作り出す雰囲気が好きで、蛍光灯は普段つけないらしい。
それは奥の発言だからセレブ的で憧れるが、他の人なら痛いと結衣が思ったのは秘密だ。
竹みたいな屏風と呼ぶのか仕切りの利便性はいまいち分からないけれど、
空間を演出するには持ってこいで、とてもセンスがあると感心した。
そして要るもの要らないものは、お化粧にもあるのだと痛感した。
そう、今まで使用していたけれど、結衣には必要ないコスメもあり、
スッピンに自信はなかったけれど、あの奥が可愛いと褒めてくれたので、
なんだか信憑性が強く嬉しい。
可愛い、よね?
可愛くなりたかった。
発想力が乏しいとか知性に欠けるとか、奥にお願いしたことは果たして低次元とされるのだろうか。
なぜなら、好きな人が容姿しか見てくれないと結衣が思っているのだと、
鼻で笑われるレベルかもしれないのだ。
けれど、恋をした女の子は尽力することが生き甲斐だから仕方がない。
「彼氏がくれたんだ」
奥が指差すのはポンパの左に付いている翡翠みたいなビジューのピンで、
動くと燦然して可愛いし、嬉しそうな彼女も可愛くて、結衣も幸せになる。
プリクラで見た美人の恋人は、
言葉を濁すと『優しそう』『誠実そうだね』と感想を頂くことが多いであろう男性だった。
以前不安がっていたが、奥のような子なら余裕で落とせそうなのにと、
失礼ながらに結衣が判定したのは内緒だ。
アルバイト先のピザ屋さんで寒いのに宅配をする姿に落ちたのかと思いきや、
注文がなく暇な日に、こっそり悪ノリがてらオリジナルピザを二人で作り、
あまりのマズさに噴き出した彼に落ちたらしい。
「でもやっぱ自己紹介した時に気になってたかも」
いつ惚れたのか明言できないのは、皆一緒なのだとくすぐったかった。
始まりは直感という名の外見?
いいや、中身が魅力的じゃないと、やっぱり惚れられない。
だって恋の落とし穴に嵌まったのに、上から手を差し延べてくれる優しさがないと好きになれない。
素通りしてしまう奴に好意は抱かない。
きっと近藤は面白がって落とし穴に嵌まって、泥だらけの結衣と一緒に笑ってくれる人だ。



