馴染みの校内もリフォームしたかのように美しく見えるのは何故。
教室に着いたら、いつものように朝の会までの時間に三人でお喋りをするのではなく、
恋をしたならライフスタイルを変えなくてはならない。
何事にも行動力があることが若さなら、結衣は大変若々しいのだろう。
ご機嫌な彼女は制服のリボンを両手でピっと広げた。
ちなみに、女子高生のオシャレポイントは他校のリボンをすることなのだけれど、
マドカ高校の制服は卒業生がデザインした為、学生目線でセンスが良い・可愛いと評判なので、
彼女は規定のそれを崇拝がてら愛用していた。
やる気のない太陽はコンロで言うなら弱火も弱火に近く、
体感温度が不明な寒い風のせいでスカートの裾が擦れ太腿が痛い上に耳がピリピリとし、
神経が麻痺してしまい鼻水が垂れているのかいないのか、よく分からない状況だ。
分かるのは寒いということで、これだから結衣は冬をあまり好きではない。
馬鹿三人娘は今、渡り廊下に居た。
「何時頃来るっけ」
「市井と来るよ、確か十五分前に」
「もーちょいじゃん結衣」
「頑張れ、せっかち結衣」
そう、三人は迷惑なストーカーばりに近藤の登校待ちをしていた。
え、十五分前?
ならまだあと五分もあるじゃんか
マドカ高校は八時四十五分から朝の会があり、
里緒菜の話からすると、ターゲットの出現タイムの目安は三十分ということで、
今が八時二十五分の意味が分からなくて、結衣は露骨に眉を寄せた。
怪訝そのものな表情は失礼そのもの、とても友人に披露するべきではない。
けれども、少女はひたすらに友人二人を凝視した。少し見すぎなくらいに。
それにはこんな理由がある。
何もガンを飛ばすことが趣味ではない。
自分たちが八時十分から渡り廊下でスタンバイしていたのは、目的人物がいつ来るか分からないからで、
タイミングを逃さないように早くからここに居たのだ。
けれど――



