《チーズケーキ私も好き。ダテメガネ似合って良いな。虫眼鏡》
《近所に専門店あって種類豊富。誕生日ケーキはその店〜とかアットホームネタ笑。眼鏡油ハネ防止、実用性重視です笑》
《幸せ団欒なんだ笑、ハッピー家族だね笑。厨房暑くない? 手荒れる》
《暑い、季節関係ない笑。家事した肌は名誉名誉と褒めりゃ主婦キラーになれるな笑。てか俺この前油臭くなかった?笑》
送信、受信、送信、受信、このやりとりはどちらかに嫌悪感があるならば、既に終了しているはずだ。
ましてやもう告白したのだから、近藤だって本気で結衣が苦手ならば、
シカトするなり返信時間を遅らせるなりして、さりげなく避けるはずだ。
好かれて困るならば、
《ヒモ予備軍、詐欺らないでね笑。 全然、爽やかボーイだった。むしろ休日なのにありがと》という風に、
後半バレンタインを絡めた意味深長な結衣のメールに、
《要らん世話、紳士に生きます笑。わざわざありがとう。ちゃんと考えてるから》
――こんな返信なんてしないはずだ。
ちゃんと考えるではなく、考えていると言う。
それは、もう恋愛対象外ではなくなったという意味に捉えられても構わないと思われた女になれたということだ。
勘違い? 誤訳? 謬見? 曲解? 誤謬? 思い違い?
どれだっていい。片思い組はポジティブシンキングにならないと、
明るい未来を見出だせない。
彼は高校生なのだから、自分の発言で保護メールをしたくなる感情を相手が持つことを知っているだろう。
結衣たちの歳で無垢なんてありえない。
よって、彼女の声は聞こえているはずだ。
純粋と空気が読めないの二つは対極のようで紙一重、彼はそこそこ大丈夫だろう。
《ジェントルKONDO笑。 頑張るよ、おやすみ永遠に》
《レディーTAGAMI。おやすみ、永久に》
冗談が成立するから好き。
見上げた空にはまんべんなく星があり、それが何億後年前の偉業なのか分からない。
今夜は空気が澄んでいるのか、やけに輝いて見えるのは何故。
暗い帰り道は自然と怖くなくなっていた。
そしてベッドの中でだけ見られる瞼裏の夜空には、私服姿の近藤とデートをしている図々しい結衣が居た。
…‥



