一つ目は自分自身。
片思い中の結衣に余計な心配をかけないために、
愛美はバレンタインが過ぎるまで破局は隠す予定だったと言う。
確かに優しい。
きっと友人が別れたと知っていたら、結衣も悲しくなる上になんだか悪いので、
失恋したばかりの人にあれこれ作戦に付き合わせたり、
メールの悩み相談をしたりなんて変に遠慮してしまい、何も実行できなかっただろう。
だから、慣れない恋愛中の親友を想うからこそ秘密にされていたのだと分かる。
けれど――
私ってお子様すぎ
守られてばかりの自分が情けなくて嫌気がさす。
同い年の癖に、気を遣わせてばかりではないか。
優しくされてばっか
シーツの編み目を確認して、そっと撫でる。さらさらして気持ちがいい。
安心するのは、いつだって二人が居てくれるからだ。
「はあ……」
そして、二つ目は三人の関係だ。
愛美は里緒菜のお陰で長年の彼氏への未練を立ち切ることも、立ち直ることも出来たらしい。
里緒菜が励ましてくれたから今は元気で、結衣の慰めなんて要らないらしい。
それは喜ばしいことだ。
いつまでも愛美が泣いてばかりではこちらも辛い。
けれど――
私の存在は、?
なんだか置いてけぼりにされた気分だ。
二人だけで困難を乗り越えて、事後報告されるだけの自分、
親友なら一番に知らせてほしい。親友なら一番傍に居たかった。
現に、結衣はいつも愛美と里緒菜に伝えてきた。
知ってほしいと思うから、解ってほしいと思うから、想いを共有することが学生の友情だと信じていた。
そんな頼りない、かな
……、頼りないか
ダメな私
里緒菜に嫉妬するのは間違っている、でも嫌で、三人の情報量は等しくあってほしい。
嫌だ、二人が深い関係を築き上げていた事実が嫌――同性相手にヤキモチをやくなんて、
おかしな女なのだろうか。
里緒菜みたいに縋られる人になりたかった、いざというときに排除される立場なんて情けなさ過ぎる。
E組で最も愚かな人は結衣なのかもしれない、いや、マドカ高校で一番だ。
友人面しているだけの空しい気持ちは何?



