揺らぐ幻影


「ギャル似合わないって、雰囲気違いすぎ」

「ほんまそれ。春なのに黒ニーハイとか重いわ。ないわ」

ばっさりと却下された上に、手にしていた変身の品を取り上げられた。


揚句、「結衣ぶりっ子お嬢さんのシフォンワンピのが似合うって、ほら右の透けてるやつ」と、

受付嬢が浮かぶパフスリーブが可愛いひらひらしたワンピースを勧められてしまった。


「……。」

  そんな似合わない? 私

二人が言うには、結衣の顔付きでギャルファッションにしたら、

『ギャルになりきれてない残念なギャル』、『ギャルに憧れている中途半端なギャル』で、

自分に似合うファッションが分かってない『気の毒なギャル』『痛いギャル』になるのだそう。


愛美と里緒菜のオシャレレベルは結衣よりも高いので、

そこまで否定されては、諦めるしかなかった。


好きな人が好きなファッションに身を包みたいけれど、似合うと着られるは違い、

好きを貫くのは、難しい。

不釣り合いな勝負服は悲惨、惨敗だろう。


そんな彼女に引き換え、愛美や里緒菜は世間で分類されるギャルっぽい格好が割と馴染む。

二人は自称ギャルではない人だけれど、実を言うと普通に学校だとギャルに位置付くキャラクターで、

華やかな見た目は派手で明朗な印象しかない。

一方、結衣はおっとりとか可憐と呼ばれる外見だ。


名残惜しいが、自分が好きで尚且つらしいと言われる服装で日常生活を歩むことにし、店を後にした。



船に乗った熱々のタコ焼きの上でカツオ節が踊る。

男子に人気なシーチキンチーズを里緒菜、冒険しないオーソドックスなのを愛美、

お子ちゃまテイストなお餅入りを結衣、三人別々に頼みトレードしあいっこをするが、

本来、シェアするのは仲良くないと少し抵抗がある質だ。


人のものまで欲しがるなんてお行儀が悪いと思う人や、

潔癖症の人が居たりするので、メンバーによっては交換しないように気を配るのが高校生ルールなんだとか。


原価を考えると家で作った方が安上がりだから、ぼったくりではないかと疑うのだけれど、

食感や美味しさの差は歴然としており、やはりお店が一番だと当たり前のことを実感するのが学生の思考らしい。