結衣は幼稚だ。
ジョギングをするとウェアだけ購入したまま、ドイツ語を習得したいと教材だけを揃えたまま、
形だけの話なのかもしれない。
「ちょいギャルになろっかな。透ける……デニール、何、生足でもいっか。それにっぽいワンピで。ライン出して。
したら、さ。まあまあっぽくない? がっつりギャルじゃなく、お姉さんな、微妙にギャル? みたいな」
先日のメールを『好きな人はギャルが好き』と判定した結衣は、
相談とは名ばかりの意志表明をした。
どうやら彼女は彼の一言をしつこく気にしていたらしい。
服屋さんは商品が掲載される雑誌の特色のように、
古い言い方なら赤文字・青文字に分類したコンセプトのナントカ系に統一されていようが、
甘め、シンプルめ、派手めの大体三種類の雰囲気を融合させている場合のブランドが多く、
結衣で言えば、彼女が日頃愛用しているスイートなブランドショップから、気持ちっぽいテイストの服を選べば良い。
その微妙なニュアンスを察知するのが、ファッション大好きガールだが、
人並みの知識しかない乙女が手にしているのは、
今季モノ扱いではなく定番となったのか落ち着いたチェックのネルシャツ風ワンピースだ。
手持ちのニーハイブーツに合わせたら、そこそこギャルっぽくなりそうだし、
ウエスタンやムートンだと、カジュアルダウンして着回しもきくだろうし、
季節感はないがなんとかなりそうだ。
ギャルになろ
変えよ、見た目
こんな風に女子高生は、恋と連動し雰囲気をシフトチェンジしたりする。
こだわりなく好きな服を着ているつもりでも、なんとなく大まかに型に嵌りがちで、
逆にセンスがあり、ファッションに追随している者は日替わりでテーマを決め、
会う度にオーラが違うため、
自己の感性のみで様々な服に合わせて染まる仕組みは、惹かれるし奥が深い。
それは服飾コースの生徒が優れている点だ。
甘めなファッションから少し派手めに、今までの型からはみ出して見ようと考えた。
「変身する!」
そうと決まれば会計だ。
新しい舞台に上がる衣装を持って、結衣が意気揚々レジに向かおうとしたけれど――



