揺らぐ幻影


カートゲームをしながら、お菓子をパクパク食べるありきたりな家遊びの仕方、

いくら真剣にコントローラーを握れど、負けっ放しなのもベタな感じだ。

男兄弟が居ないせいか、家に玩具がなかったので結衣はゲーム音痴というより、

女の子向けのソフトもあるのだが、ジッと座るよりは走り回りたいタイプだった。

その点、友人は兄と弟が居るので鍛えられるのか強い。


「本当に弱いモード? ばりばりバナナ攻撃がー」

「ユキ踏み行ってんじゃん、わざと」

ユキとは結衣のことで、小学生の頃に付けられたあだ名・雪女の名残だったりする。


飲み終わったペットボトルや脱いだ服、出したままの雑誌等がごちゃごちゃと散らかった生活感の漂う部屋は、

あの頃のままで落ち着く。

片付けたの基準は家庭環境で全く違うから不思議。

結構荒れていてるとしても本人が今日は綺麗だと言ったり、

モデルルームのように整理されているとしても本人が今日は汚いと言ったり、

近藤の部屋は何畳で和洋どちらで家具は〜……と、妄想すると凄く楽しい。


ある程度目が疲れたところで、ガールズトークを始めることも定番だとされる。

「ジョシコーほんま男子居ないから怠惰な生活だからー」

授業中に毛抜きで眉を揃えたり、放課後までスッピンで居たり、

共学校ではハードルが高いことを口にされた。


「でも前より変わってない?」

彼女は中学時代で彼氏持ちだったおませな可愛い子ちゃん。

学年で誰よりも早く縮毛矯正をかけたオシャレさんだったので、結衣の中で憧れの人だった。


それは今の奥のような存在で、

お化粧を教えてくれたのも、ネイルの入口に連れていってくれたのも彼女だった。

そんな友人は三ヶ月前に会った時よりも遥かにギャルギャルしくなっており、

昔から仲良しではなかったら怯んでしまいそうなくらい、都会的なイメージに変わっていた。


中学と高校では数ヶ月会わないだけで、オシャレが大好きな女の子は変身する。

そして恋をすると、瞬きする間に顔付きが変わるのは何故。

垢すりエステをしたように肌がつるつるピカピカになって、

笑顔が何百倍も輝き出す結衣の世界は、周りの人を巻き込んで変わる片思いがエネルギーだ。