揺らぐ幻影

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木葉に紛れてコンビニ袋が悪戯に空中をさ迷い続ける。

肉まんの包み紙やおでんの容器、足元に転がるゴミで季節を感じるなんて、

現代はある意味らしいと言えるだろう。

学校敷地内はいつから巨大ゴミステーションと化したのか、用務員のおじさんの苦言に誰か耳を傾けてあげればいいのに。


「ナンダカンダ良い雰囲気」と里緒菜が、「うんうん順調、ホット、タカシじゃん」と愛美が、

昨夜のメール内容は、二人から冗談っぽく優秀スタンプを押して貰え、

安心した結衣はポッケに携帯電話をしまった。


自分一人だと不安になるけれど、恋愛経験のある人が評価してくれるなら自信がつく。

なんて、今彼女がしていることは茶番に等しいのかもしれない。

そう、不安だ不安だと嘆くこと、つまり『嫌われてないかな〜?』と尋ねることは前フリで、

『大丈夫』『いける』と友人に絶賛されること前提で、

良い感じだと分かりきっているからこそ事後報告をし、ほっとしているのではないだろうか。


結論を述べると、片思い中の人間は安全確認が趣味になると断言しても問題ないはずだ。

結衣がしていることには自信が漲っているとしか思えない。


行き場のないゴミは咳のような淋しい音を立てて、隅に追いやられるまで居場所がない。

  も、なんで捨てるかな

掃除当番の女子高生は玄関前の惨事に大層ご立腹だった。

どうやら彼女、ポイ捨てが出来る人の神経を理解しがたいらしい。

なんでも、誰だって自分の部屋の床にはゴミなんて捨てないだろうから、

要するに身勝手な愚かな人がする行為といった感じなのだそう。


太陽が照らすのはビー玉でもない誰かの痰で、あまり美しくない。

当然、このように唾を吐く理由も、チェック柄のスカートが可愛い制服を着た少女――結衣にはさらさら分からなかった。

汚いし踏みたくないし、カッコつけて吐く様がなんだかダサい。

  もーガムまで


ホッペを膨らませ、沸々と怒りを抱いている最中、

通りすがりの男子生徒元で独特な香りがし、余計に彼女の神経を逆撫でした。

くだらないと、ほうきを握りしめる手にお節介魂がこもる。