女子生徒に貰ったプリクラがPCに貼ってあったり、卒業生の女子生徒の写真を飾っていたり、
なんだかアレだ。
……。
右手にクレンジングオイル、左手にメイク落としシート、先生が所持するそれは結衣からすれば武器にしか見えない。
「なんてな、魔法か。はは、面白いこと言う奴は見逃してやるかな」
そう、彼の机には女子に甘くて何事にもゆるい先生らしさが溢れている。
従って、少女の敵を両手からなくして生徒のご機嫌をとる訳だ。
良かった
せっかくお化粧をしたのに落とされたら、それこそ今日は女子高生的に最悪な一日となっただろう。
スッピンは酷くないけれど、薄い眉もクマも晒す勇気がなかったりする。
一部の女子生徒から支持される先生は豪快に笑いながら、
「化粧が濃いとお泊りしたら彼氏がびっくりだろう、寝る時も化粧したままか? 朝まで化粧は肌に悪い」と言った。
「……。」
見方を変えるとセクハラ紛いな発言をする中年男性、実のところ結衣は苦手だったりする。
いつもぎりぎりライン―何かしら彼氏や恋愛の話を持ち出すので、
なんとなく教育者の威厳は薄い。
電気を消すなら平気だという言葉だって、女性ナントカ団体ならご立腹に違いない。
けれども、
「あはは、美少女ですから」
結衣がいちいち構えたってしょうがない。
あまり好ましくないタイプの人とも上手くやり過ごす術は、歳を重ねるごとに少しずつ習得していくのだろう。
世の中、上手い具合に進まない、変な人だっている。
それをどうやり過ごすかが大人の知恵だと思う。
サインをしてもらった遅刻申請の紙切れを手にした彼女は、
ありがとうを素っ気なく残し、無事脱出することができた。
本来ならお化粧を落とされるのだから、
見逃してくれた先生は優しいのに、そこはちっとも感謝はしないでおく。
それもこれもセクハラ先生のお陰だとする軽い感謝法が、学生の特徴と言えるのかもしれない。
なぜなら、結衣のようなお気楽女子高生は、自分が優遇されて当たり前なので、
してもらって普通、それを配慮されなかったら、『ナンデ?』となるまだ成長途中の女の子だ。
まだまだ甘ちゃんな赤ちゃんだ。



