揺らぐ幻影


結衣と里緒菜が端、愛美が真ん中のポジションがしっくりする不思議。


世間では男性が車道側という謎の決まりがあるらしいが、

駐車場からも車は出てくるので、どっちみち危ないじゃないかと屁理屈を並べるのが結衣だ。

従って、彼女は見た目と中身のギャップに少々男子に引かれる節があるのは秘密だ。


  バイト忙しいかなー

  ごめんね皆

このような人事の心配ほど、腹立たしいことはないだろう。

けれども、サボってみることも意外と必要かもしれないはずだ。

数年後に自分が働いている時に、下の一人がずる休みをすることで、

どれだけ己が昔は周りに迷惑をかけたか、身を持って気づくのだから、

いけないことをして当時は感じなかった未熟さを、

成長することで気付き、後から見つめ直すことも必要なのだ――と、それっぽくまとめておこう。


尤も、甘えていることは事実で、女子高生だから、若いから、ゆとりだから……など言われるのだろうが、

結衣は別に持論を曲げるつもりはない。


「つか寒い」

「あの人かっこいい」

「いやー?、Cランク」

放課後の定番、その一。
すれ違う男子高校生をオーディションにかけること。


「わあー、イケメンと美女」

「いいなーお似合い」

「趣味はカフェ巡り、みたいな」

放課後の定番、その二。
すれ違う高校生カップルを羨ましがること。


そんな風にして、ぺちゃくちゃお喋りをしつつ爆笑談笑、和気あいあい和みモード。

ブレザーやセーラー服、学ランやジャージ、色んな制服が集う街中を眺めるだけで、

なぜだか複雑な想いが発散され、新鮮な気持ちになれるのかもしれない。


同世代の青春風味なエネルギーを目の当たりにすると、

こちらも負けていられない、頑張ろうと思える。


中学生の頃は高校生に憧れ、高校生の頃は今を満喫し、卒業してからは高校生の頃を懐かしむ。

女子高生最強説は正しいと信じている。

きっと、今の結衣の生活こそが、一番なんでも吸収できる世代で、

特別な時代なのだと誇らしく感じる。