「全然相談乗るし、無駄に歳重ねてないから。俺なんかミーの頃は四人目の彼女だったから?」
職歴以外に恋愛歴さえ先輩面するので、
結衣は「俺モテる自慢ですか」と、ゆるいツッコミを入れた。
深いためになる話より、適当な会話のやりとりが大好きな彼女は幼いのだろうか。
ツマミに頼んだシュリンプフライを運んできた店員さんを含め、どっと笑いが起こる。
このような面白いの次元が低い雰囲気が青春のノリ、身内ウケだけの雑談こそ価値があると、
三流の結衣は信じている。
そのため、わざと馬鹿らしく振る舞うことが彼女のモットーだ。
「カノジョなりたいです、具体的なアドバイスして下さいよー?」
学校では奥やクラスメートにも言えない言葉が、自然と零れた。
生活範囲が違う人には、気軽に恋の話をしやすい。
仕事先の恋はサークルの友人に、習い事の恋は中学の友人にというように、
自分の恋心を知っても本人に通じないフィールドが違う人物にならば、
噂にされても本拠地にまではたどり着かないので、なんとなく相談しやすい訳だ。
なんて不思議な片思い心理なのだろうか。
実際こうして愛美と里緒菜以外に恋を打ち明けたのは初めてで、
余計に結衣は浮かれていた。
ちなみに、今でも遊ぶ中学の仲良しグループだった子たちには、学生ネットワークが逆に広がるため、秘密にしている。
本来、歳が離れている人には気楽に相談できるのに、どうしてもダメだった時を考えると、誰にも言えなかった。
ちょっとは自信がついたのかと、少し頑張ろうと思える。
しかし、そんな慎重派な結衣自ら近藤の話をしているということは、
裏返せば自信満々に自惚れていることにもなるが、そこまで考えが達しないのが恋愛見習いの乙女らしさだ。
「でもどうしようって感じです」
結局は、一人うじうじしてしまう初恋ビギナー。
彼女たちの悩みは尽きない。
なぜなら、例え近藤に告白されたとしても、『どうしよう』『だって』『でも』なのだから、きりがない。
永遠に尽きない悩みの種、芽生えるのは不安ではなく片思いの淡い醍醐味だ。
そのお花を咲かすことができるのか、それがこの先の物語となる。



