自然なグレーのカラーコンタクトレンズはハーフっぽい印象を作り、
顔の作りに似合っているので神秘的で可愛い。
たまに眉と髪と瞳の色が馴染まずに残念なオシャレをしている人がいるので、
自分もそうなる恐れがある結衣は、なんとなくまだ手を出せない。
綺麗な瞳が分かるよう持ち上げられた前髪――……『奥イコールポンパドール』というイメージが、
すっかりマドカ高校には定着している。
世間一般、女子高生には男子には理解不能お決まりな特異ルールがあり、
誰かのシンボルマークと被るのはタブーとされている。
例えば、奥と言えばポンパドールで、他の子が前髪をふんわり束ねようものなら二番煎じ扱い。
愛美と言えばショートヘアで、誰かが短く髪を切ろうものならパクリガールとされ、
里緒菜と言えば、うっすらピンクがかった髪色で、それに似たカラーに染めようものなら、たちまち盗作女とされるのだ。
こういった具合に、クラスメートの個人キャラクターを主張するアイテムを悪意なくとも模写することは、
教室において絶対的に反社会的行為とされているようだ。
つまり、センスを真似すれば嫌われる原因・思春期ランキングベストワンにランクインできるのである。
結衣だって、もし誰かが似たようにボリュームある巻き髪をしていたら、被らないでとムっとしてしまう性分だ。
「奥サマ〜何、たいく嫌い?」
授業をさぼろうとする奥は、きちんと体操服に着替えている。
シャツの襟が覗いているけれど、仮にも授業中だ。
「だってー汗掻きたくないじゃん、オデコがテカるもん」
なんとなく遠慮し、「でも意外と汗かくよ?」と、ハムスターみたいだと言われる笑みを作り、やんわりと断った。
「奥! 小崎! 田上! 真面目にしろ」と、
苛々した先生に叱咤されようが、職業・女子高生の彼女たちには聞こえやしない。
一人増えれば、より無敵になる謎。
片思い作戦の品、紙風船をぽんぽん追いかける。
結衣たちが青春を真似て遊びだすと、安っぽい音が生まれた。



