揺らぐ幻影


「つまんない」

ハッキリと言った。

昨晩の結衣は、なんとも画期的につまらない話題をイケメンな近藤に提供していたらしい。

他人が聞き流すような内容に、ひたすらときめいていたのは自分だけだと分かったから、恥ずかしいったらない。

相手を配慮せず独りよがりなお喋りを続けていた幼さは失笑でしかない。


一体何が目的でメールをしたかったのかが、全く理解できていなかったようだ。

結衣は近藤の恋人になれるように頑張っているのではないか。


「ならさ、結衣がしなきゃなことは?」

一問一答のように誘導してくれて、いつもこちらに考えさせてくれる。

スパルタな友人の優しさはB級品だ。


  ああ、なんか、

  私全然素人だったんだ

偶然奇遇作戦が故の毒をすんなり受け入れられるのは、

結衣が畏友を信頼しているからだ。

きっと、もし二人のどちらかを信じていなかったら、酷いとかキツイとかで不満を抱くのだろう。

知り合って半年程度だが目の前に居るクラスメートは、彼女にとって家族のような存在だった。

絶対的に味方でいてくれる人は、身内以外そうそう見当たらないため、

この出会いをJ-POPばりに奇跡だと信じてみたくなってしまう。


「恋愛チックな内容のメール!」

「「正解!」」

満面の笑みで答えたら、そっくりな笑い方で正解と言われた。

この三流感覚が好き、わざと痛いやりとりを繰り広げてくれるから好き。


このように、他人からすれば若干引き気味になるテンションこそが、女子高生モードのファーストステージだ。


お揃いの小銭入れをいじる。
ベタだけれど、小さなことから少しずつ頑張ろうと思った。

恋する女の子は幸せ脳みそだし、友人に恵まれるし、簡単に笑顔になれるらしい。

そんな風に笑っていると、いつか無邪気な笑みにあの人が振り返ってくれる可能性が高くなるかもしれないのだ。

従って、メール内容にしくじったと後悔するよりも、

次から気をつけようと、とりあえず口角を持ち上げればいい。


暗いオーラを纏うよりも明るく振る舞えば、いつの日か隣を歩けるようになるかもしれない。

曖昧な希望も多い方が、単細胞に限り積極的になれるはずだ。