偶然奇遇作戦は可憐な女子特有の下手な慰めは禁物だ。
きついことを言われるだろうが、覚悟を決め結衣は尋ねた。
きっとオブラートに包まずに直接もっともなお説教をされるから、本当は聞きたくない。
けれど、客観的な本当を知りたがっている自分もいる。
愛美と里緒菜、二人の親友はいつだって正解を教えてくれるため、
女子高生にありがちな感動的なあなあな友情ごっこがないので、その辺は信用できる。
「例えば。イフね。大塚とメールして。天ぷらの話されて楽しい? どんな地方丸だしグルメナビ?
もし結衣が甘いモン嫌いだとしてさ、興味ないパフェの話されて楽し?」
ふわふわとした口調は直球で投げ付けられる。
痛いところを突かれ、言葉にならない想いを飲み込むために、結衣は下唇を噛んだ。
ピンク系のカラーリングは抜けやすいのだが、里緒菜はいつも染めたての色をしている。
アルカリとか酸性とか小難しいビューティトークを以前聞かされたことから美意識の高さが伝わったし、
それだけ彼女がこまめに手入れをしているということなのだろう。
一方、結衣は最近温度の高いコテを長めに強めにあてるせいか、
ぱさついた毛先をしており、ケアが追いついていない。
使い切りの一回三百八十円もするパックを奮発して未来の彼氏の為に投資しているにもかかわらず、
どうして好きに反して効果は得られないのか。
甘やかさない友人の例え話に、保護メールの相手が大塚ならと想像し、
彼に関心がない結衣は「全っ然」と、迷いなく答えた。
そう、ただのクラスメートなだけの大塚が天ぷらで何が好きかなんて知らないし、
ししとうが嫌いだろうがシソが好きだろうがどうでもよくて、
油ハネの話なんて最高に盛り上がりポイントが分からないし、パフェの話なんて暇潰しにしろ興味がわかない。
昨夜頑張ったメール内容が無意味なことにようやく気付いて苦い顔をする結衣に、
困ったように笑うと彼女は続けた。
「そーゆこと。結衣はぽこりんラブだからどんなメールだって楽しいじゃん。
でも、あんたに気がないぽこりんからしたら……?」
こちらを見据えるのは同級生なのに、内面が大人びているのはなぜだろう。



