絵文字は適度にというより、ハテナとびっくりマーク以外はなるべく使わなかった。
今は利用する当たり障りのない星や音符、ニコニコ顔を一つくらいも、
今後は徐々に控えようと思う。
そもそも仲良しの子には普段句読点の白黒しか送らない結衣だ。
それからぁぃぅぇぉゃゅょと、むやみに小文字にしたり、じをぢと打ったり、わたしをあたしと打ったり、
デコメールを乱用するのは、なんだか恥ずかしいためしなかった。
というのも、そういう女の子らしい可愛い感じのメールは、自分のキャラクターではないし、
自己顕示欲に満ちていないとは言い切れない雰囲気が、結衣の価値観では恥ずかしいからだ。
クラスメートたちのように携帯電話にこだわりひと手間を惜しまないサービス精神旺盛な感覚が、
ちょっと彼女には共感できなかったりする。
また、たまにメールの時と話す時でテンションが極端に違い、
メールだとノリが良いのに話す時は控えめだったりで、携帯電話の中で別人に変化する人は、
結衣のセンスでは憧れる要素がないので、
むしろそういうギャップがないように、なるべくメールも普段と一緒の雰囲気で居たいと思った次第である。
そのため、恋愛中にもかかわらず、女子高生にしてはひどく淡泊なメールで、
よく受信者に珍しいと言われるが、結衣的に弾けたい感や頑張ってる感がどうも受け付けられない影響なのかもしれない。
しかも今回は特別で、近藤に『メールはキャピついている癖に気持ち悪い』と、
引かれないようにと予防をした結果でもある。
そのような謎のこだわりがあって、たかが四行を打つだけでも頭を使ったりなんかして、
お気に入りの曲を彼の着信音に設定したのだが、サビが鳴るだけで近藤からだとビクビクしてしまう。
となると、なんだか違う意味で心臓に良くない曲で苦手になるかもしれない。
ココナッツの香りがふわふわと浮遊し、幸せの粒を放出させる。
筒の形をしたそれは、行灯のように側面に模様があるので、
蝋燭の明かりを思わせるオレンジ色の光りが、床を希望いっぱい星型に照らした。



