一秒は一秒で地球で定められている一秒は一秒で変わらないのに、
待ち時間がどうして永遠に思えるのだろうか。
濃厚な一秒を知ると、今までどれだけの時間をさらさらと無駄に流していたのか分かる。
きっと時間に重さはないけれど、間違いなく心臓に刻まれる脈は深く意味を持つ。
返事待ちが辛くならないよう愛美がテレビの実況を可笑しく誇張して話してくれるので、
不安な気がいくらか紛れるように感じた。
暖房のスイング機能が思い出したかのように音を立て、
生温い空気が髪の毛の隙間を通り地肌を軽く撫でた。
それは不意打ち。
着信音が鳴る前に咄嗟にクリックしてしまっていた。
従って、画面に浮かぶ文章は結衣にとって、リハーサルなしでいきなり本番のむちゃ振りのようなことだった。
「うわっ、わ! 嘘、メールきた! うわ、読むよ? えっと……、待って。えっと。
全然。週三しかしてないマル、しかも渋くあえてのうどん屋、笑い。田上さんは何かバイトしてんのハテナ
……だって! うどんかぁ、イメージと違うかも、あははっ」
、うどん屋とかなんか
なんかカフェっぽいけど、うどんかー
白い服なのかな、長いエプロンなのかな
……おでこ出してるのかなぁ?
てか前髪短い方が似合いそ
一秒の間に彼のことを想像し、立派に頭の中を巡る。
まさかメールをする間柄になるなんて、誰が知っていたのだろう。
無関係な二人がとりとめのないメールをすることはなく、
せいぜいテスト範囲を尋ねたり、宿題を聞かれたり利用されるだけだから、
ふわふわした内容をやりとりする彼女と彼は他人ではないはずだ。
こんな風に向こうには無意味なことにも、いちいち意味を作りたがるのが乙女心。
日常を特別扱いして、いちいち歴史に刻むのが恋する女の子。
それが迷惑になるか、好意になるか。
果たしてどちらなのかはまだまだ先のお話で、
今はまだ無――ここからの頑張り次第で、結衣が未来をいくらでも変えられるし、
また、近藤の人生をいくらでも侵略できる余地を意味していた。



