仲良し組で楽しい時間を過ごせるから、今みたいに自由にグループを作れる高校のお昼事情に不満はないけれど、
小学校・中学校の時のように決められた班のメンバーで同じメニューの給食を囲う方が貴重な気がするのは勘違いなのだろうか。
それでも休み時間にはつるまない女子とお喋りをするのは新鮮だったし、
嫌いな食べ物を分けることで男子とも絡みやすかった。
本当は嫌な班だったとしても、定められた枠の中で人付き合いを学べたため、
高校生になっても給食で良かったように思う――なんて、少しセンチメンタルになる結衣だ。
「大塚って最近服コん男子と仲良いじゃん、だから大塚に頼め、あんた隣の席だしちょろいって」
「ええー、ばれちゃうよ!」
頑張ろうと決意した割に逃げ腰になり、びっくりした結衣は思わずお弁当包みの上にうずらのタマゴを転がした。
自宅なら構わず食べるが、外だと食べていいのか迷ってしまうせいで、
ちらりと白い物体を目で追ったが、
今は二センチあまりのそれよりも里緒菜の言葉が気になり、
助けを求める為に左隣りの愛美を見た。
しかし彼女は「頭を使いなさい。リオりんはユイりんがぽこりんのアド知りたいって言った?」と、
からかうようにしただけだった。
困惑気味に眉を寄せて、二人をそれぞれ睨んでみせた。
りんりんりんりんって訳分かんない……
わざと変な呼び方を誇張するノリは、学生にありがちなネタと言えるだろう。
文化祭の浮足立った内輪ノリに似ており、第三者からすれば意味不明なやりとりだが、
それがまた最高に青春臭い。
「……。」
無理だとばかりに首を左右に振る巻き髪の女を一瞥すると、愛美は続けた。
「アタシの中学の友達が市井のこと狙ってるらしく〜? 彼女いるのかって〜ついでに近藤にもってー、
……みたいな嘘をでっちあげなさいって話じゃん」
小悪魔な色気のある流し目で、彼女はちらりと渦中の大塚を見た。
その仕草一つでも女らしくドキリとなり、なるほと、これは見習おうと結衣は静かにメモをとる。



