「こたつに隠れるの笑えた」
「夜のさ、天井からの一番ウケる」
「あれ爆笑した、忍び」
「最近罰ゲームじゃないのなんで?」
とある番組の人気企画・鬼ごっこのヒシャクについて愛美と里緒菜が話しているのだけれど、
自己中に流れを無視した結衣は、近藤のメールアドレスを知りたいと打ち明けた。
早く仲良くなりたくて、早く自分を見てほしくて、早く彼女になりたくて、早く想いを伝えたかった。
ワガママに話題を変えた少女に嫌な顔一つせず、ゆるい雑談がガールズトークへと早変わり。
「ああ、そろそろアドレス知る時かな、うんー、その前に彼女いるかどうか仕入れよっか」
斜め左を見てしばらく思案した内容を、里緒菜は先生口調で言った。
カノジョ……
彼女の存在をすっかり忘れていた。
いつの間にか、てっきり居ないモンだと決め付けていたではないか。
今更恋人が居るので諦めましょうと、すんなり気持ちの切り替えなんてできるはずがない。
だからといって、純愛を盾に略奪愛もしたくはない。
近藤の大切な人を不愉快にさせる片思いはしたくない。
彼女居ませんように
ついでに好きな人も居ませんように!
祈るだけ祈ると次は刷り込みだ。
『近藤に彼女は居ない、もし居ても三日後に別れる』と、
勝手に思い込んで、結衣は偶然奇遇作戦の象徴ウサギの小銭入れを握りしめた。
このマインドコントロールがポジティブの強みだ。
もしも、今、彼女が狙っているポジションが既に埋まっていようものなら、
切ないでは済まされない未来に失望してしまうだろう。
けれど、うじうじしないと強がってみるのも片思いの気合いだ。
そうと決まれば話は早い。
愛しの彼についての情報を仕入なければならない。
マスカラを塗り重ねた睫毛で縁取られた結衣の目の中は、キラキラと輝いている。
そんな丸い瞳に親友二人を映し、勉強熱心な小学生のように質問をした。
「どうやって?」
冷えて脂身が固まったベーコンの――アスパラのベーコン巻きなのか、ベーコンのアスパラ巻きなのか、
どちらなのか混乱する結衣には、恋愛科目は非常にハードルが高かった。



