ドキドキする
ってか、ドキドキってどーゆー意味
雪を降らす予定らしい空は雲で塗られたせいか、気持ち普段より低く重く思える。
それはそれは白色が映える暗めの色彩で塗られた風景だ。
挨拶をしようと決めたので、お馴染みのスパイ作戦を決行する。
学校という場所や女子高生の無邪気さがあるから許されてアリなだけで、
これが行き過ぎるとニュースで自分の名前を見ることになるのだろう。
八割の事を『テヘッ』で済まされる学生で良かったと感謝したい。
堂々と好きな人のことを知りたいと思う気持ちが、無邪気となるか恐怖となるかは相手次第。
つまり近藤任せだ。
困らせない程度に近付きたいと結衣は願う。
丁寧に巻かれた髪の先から覗くのは、愛美と買った首からぶら下げるタイプの小銭入れだ。
赤い紐はおへその辺りまであって、
白いウサギがショッキングピンクのリボンをしている可愛らしいそれは、
スワロフスキーでデコレーションされており、遠目からでも目立ってインパクト大だ。
全く、ファンシーでラブリーじゃないか。
このようなキュート演出は自己顕示欲が著しい厄介女だと聡明な方は察知するのだろうが女子高生、
そこは是非とも『若いわね』の一言で流していただきたいものである。
もちろん里緒菜の分も購入したので、仲良し三人組偶然奇遇作戦のシンボルアイテムとなった。
このように、女子高生はお揃い小物アピールが大好きである。
理由は可愛いから。
仲良しの友人とお揃いなんて定番も定番――最高にポップな友情の演出なのだそう。
例えば髪飾りやブレスレット。
体育祭の日なんて、クラスの女子生徒全員で髪型を統一して他の組に青春らしさを見せ付けたり、
男女全員同じリストバンドをはめて、絆がある団体なのだと誇らしく振る舞う。
それが高校生らしい素敵な学校生活の象徴だ。
結衣と愛美と里緒菜は、微笑ましい程度にナルシストなので、
得意顔でウサギを披露し、騒がしい学内を暇人らしく練り歩いていた。



