まだ十五歳、自分という人間が確立していなくて当たり前なのだが、
恋愛中は余計に不安定な心になってしまうものだ。
例外なく、結衣もマイナスの渦にのまれていた。
私が可愛かったら近藤くん辞書の時、もっとドギマギしてくれたよね?
私が可愛かったら近付けばときめいてくれてたはずだもん……
、全然そんなんじゃなかったし
無性に悲しかった。
頑張れば何かしら伝わって――そう、偶然奇遇作戦をすれば両思いになれると思い込んでいた。
作戦通りにこなせば、好かれるもんだと疑いもしなかった。
恋愛を甘く見ていたかもしれない。
与えられた行動をするだけではなく、それを通して自分自身がもっともっと努力しなければいけないらしい。
結衣ときたら運任せどころか愛美や里緒菜、他人任せにしていたかもしれない。
あきらめたくない!
まだまだこれから奮励しなければならない点が多々あるようだが、
その都度、友人二人はイジりつつも導いてくれるのだろう。
こうなったらとことん痛い人になってやろうと決意をし、
引き攣らないよう心がけて、結衣は綺麗に唇の端を持ち上げ笑った。
気持ち悪がられる手前までは、押して押してとにかく行動しなければ、
足踏みをしているだけだと気付いただけヨシとしたのは、
結衣は己に甘採点が得意だからだ。
「頑張ればー? 田上」
朗らかに微笑んだ愛美が手にしたのは作戦の品――いつだって恋が中心の人生だ。
調子に乗るといけないので、既に結衣からはキラキラオーラが十分出ていることを親友として知らせないでおいた。
そう、偶然奇遇作戦には謙虚な心も必要なので、褒めないでおくのが三流友情論だ。
毎夜現れるお月様は控えめで我を主張せずに、星たちの煌めきを尊重している。
なんという大和撫子、乙女として見習いたいくらい美しい。
まだまだお子様な少女には幻想的な夜空の下は似合わないけれど、
いつかきっと――そう夢を見たい片思いの女の子は明日を楽しみに眠りに就いた。
…‥



