放課後は何もしなかった。
辞書を借りた日にまたアクションを起こすのは、僅かに不自然だと結論付けたからである。
暇な夕方、里緒菜はバイトがあるらしく、愛美と二人で結衣はお買い物デートをしていた。
四時を回れば、ファッションビルが並び建つ街中は高校生で溢れ出す。
現役エキスが空気中に散らばっていて、息をするだけで若返ることができそうなくらい、
歩く度に制服姿の少年少女に出会いっぱなしだ。
マフラーを巻いてセーターを着て、ならばなぜスカートを短くして生足をさらしているのか。
そう問われても答えられないし、うまい説明も浮かばないし、恐らく十代の頃にしか分からない心理であろう。
「なんかオソロで買お、派手かわいーの」
今日は愛美プランに結衣が付き添う形になった。
地下街のアクセサリー屋さんで物色する友人の手捌きは、
新聞に広告を挟む職人級に素早く狂いがない。
商品を手にすると店員さんに万引き防止か、すぐにカレー皿くらいの籠を渡されるので、
正直手が塞がり選びにくいと毎回思う結衣は、
躊躇なく籠を床に放置している愛美をひそかに尊敬した。
ああやって逞しく生きる術を身につけていくのかと感嘆した。
シルバーよりはー……ピンクゴールド
なんかピアス欲しいなー
同伴をよそに、結衣は結衣で自分が好きなものを探していた。
とくに縛らないフリーダムな関係が大変居心地良くて、
一緒に居ながら互いに違うことができる関係は稀だから有り難く思う。
ピアスピアスー
なんか良いのないかなー
髪の毛で隠れる耳飾りは正直誰も注目しないので、
もはや自己満足に過ぎないが、いくつあっても足りなくて、
遊ぶ度に購入してしまうため、そろそろ収納方法を考えなくてはならない。
新しいピアスをした時と新しい下着をつけた時、新しい靴を履いた時と――……とにかく新しい何かを身につける時は、
なぜ無意識に背筋がピンとなるのだろう。
理屈はあるのだろうか。
新しい恋に夢中な今、なんだか気分が良くて、丁寧な言動になってしまう結衣だ。



