あいつのキスの練習台


 だって――無理矢理座らされたその場所は、達也の目と鼻の先。

 さっきよりもずーっと距離が近くて。

 
 まつげの長さとか本数とかバッチリ分かっちゃいそうなんだもん!!




 ――だめ、心臓とまる。




「目……つむって?」



 言われるがまま、そうっと目を閉じる。


 そして少し経った後――あたしの唇に柔らかいモノが重なった。

 うっすらと目を開けると、座らされた時よりもぐっと近くに達也の顔があって……目を閉じてて……かっこよくて……あたしはまた目を閉じた。