「なんでもない! とりあえず帰るね、ごめん」 まだあいつは何か言ってきたけどあたしの耳には何も届かなかった。 ――ううん、届いてたけど聞こえないフリしたんだ。 廊下を早足で歩いている最中、不覚にも涙が出そうになったけど必死でこらえた。 「最低」 ぽつりと呟きながらあたしは家路へと急ぐ。