あいつのキスの練習台



「あ」


 入り口やカウンターからは全くと言っていい程見えない――つまり死角になっているその場所にあいつは居た。


 周りを見ると、誰も借りない様な魔術の本なんかが置かれていた。


「遅い遅い~」


「ごめん……ちょっとね」


 説明すればいいんだろうけど、なんか言い訳ってスキじゃない。