甘く・深く・愛して・溺れて

その夜、俺にしては珍しく、夢を見た。



それは、引っ越しの当日の夢。



涙ぐむ結菜を抱きしめたい気持ちを堪えながら、



俺自身も泣きそうになる自分を抑えながら、言った言葉。



『結菜のこと好きだけど、離れたら今みたいな気持ちでずっといられるか分からない…ゴメン…』



沢山考えて、沢山悩んで、決めたことなのに、



その言葉を言いながらも、俺にはまだ迷いがあった。



本当にこれが正しい答えなのか……これでいいのかって…。



ますます悲しげに瞳を曇らせた結菜は、



『あたしは…ずっと好き…。隆治と別れるとか考えらんないっ…それから、今、嫌いになってくれたほうがマシだよ…』



と、つぶやくように、か細く答え、



無理に笑顔を作り、俺に笑って見せたんだ。