甘く・深く・愛して・溺れて

俺は人と正面から向き合って話すのは好きじゃない。



けど、やっぱ兄貴とは気軽によく話をするほうだと思う。



『結菜…。そういえば、あいつ、兄貴と同じクラスなんだっけ?』



『あぁ。あいつ、お前と別れてからまだ誰とも付き合ってねぇみたいだぜ』



兄貴は冷蔵庫から取り出したオレンジジュースを一気に飲み干した。



『もう俺には関係ねぇよ…』



俺の言葉に兄貴は、



『関係ねぇなら、なんでそれ、まだつけてんだよ?』



と、俺の携帯を指差して、ふっと笑った。