甘く・深く・愛して・溺れて

ひとつ上の兄貴は4月から高校生となった。



少しでも生活費の足しにするためにと、



学校が終わると毎日のようにバイトに向かう兄貴。



遊びたい気持ちより、母ちゃんや俺のことを考えてくれる、



そんな兄貴は俺にとって、特別な存在だ。



『なぁ、隆治さ、お前…結菜のこと…忘れたわけじゃねぇよな?』



夜、俺がコンビニから帰ると、



バイトから戻った兄貴が聞いてきた。