甘く・深く・愛して・溺れて

まだ微かに残る空人の香水の香り。



そして最後に見せた笑顔。



中学生だったあたしには、



空人の何もかもが「未知の世界」みたいなものだった。



もっと知りたい……もっともっと。



近づきたい……あたしのことも知ってほしい。



あたしの中の好奇心が貪欲に動き出し始める。



でもすぐにメールをしたら、



それだけで空人にため息をつかれそうな気がして、



空人にやっとの思いでメールしたのは、



あたしの足の怪我がようやく治る頃だった。