甘く・深く・愛して・溺れて

土曜日の朝だからか、電車の中が空いていたことに少しホッとはしたけど、



隆治君はそれでもあたしの方を見ようともしなかった。



黙ったままで、吊り革につかまり、無表情で外の景色を眺めている隆治君。



その横顔は隆司によく似ているのに、やっぱり中身はまるで別人なのかな…。



諦め気分で空いた座席に一人で座ることにしたあたし。



すると、いきなり隆治君の腕があたしをつかんだ。



『俺、行き先教えてねぇよな?ってことは、降りる駅、お前分かんねぇだろ?』



『え…まぁ…うん』



『だったら、俺のそばにいろよ…』