甘く・深く・愛して・溺れて

空人と知り合ったのは、あたしが中学3年の時。



『…痛っ……』



学校の帰り道、勢いよく走ってきた見知らぬ自転車とぶつかって、



歩いてたあたしは、あまりの痛さにその場に座り込んでしまった。



『君…大丈夫?』



誰もが見てみぬふりで無関心なまま通り過ぎて行くのに、



たまたま、近くでそれを見ていたのか、



心配して声をかけてくれたのが、空人だったんだ。



『歩ける?』



猛スピードで逃げ去る自転車を、



ただ痛みに耐えながら、見つめるしかなかったあたし。



『どこが痛い?』



『足が……痛くて…』



と、答えたと同時に、



あたしの体はフワっと浮かぶように、抱き抱えられた。



『俺、そこに車で来てっから、送ってくよ。それともすぐ病院連れて行こうか?』