今日はとてもいい日だ。隣にお父さんがいる。


お父さんはいつも仕事でいない。だから私はいつも一人で近所のおばさんが作って持ってきてくれたご飯を食べてた。


授業参観にもお父さんは来るはずがない。もちろん仕事で来れるはずがない。学芸会も、運動会も、縄跳び大会も。


親が参加する行事がひとつ終わる度にお父さんは切なそうな表情で「ごめんな……」って言って私の頭を撫でる。


お父さんがいなくて寂しかったけど弱音は吐かない。お父さんだって頑張ってるんだから、私も頑張らなくちゃ。強い子にならなくちゃ。


この旅行に行く前に、お父さんは私の頭を撫でながら言ってくれた。


「いつもひとりぼっちで寂しかっただろ?今日と明日はずっと一緒にいるからな」


嬉しかった。私は上機嫌で「うん!!」と頷いた。


今、お父さんは隣にいる。寝ているけど、ちゃんと隣にいる。私は嬉しくて、満面の笑顔で口の中の飴を転がした。