「それはできません」
襟首を掴まれてもなお、動じない黒川を見て隆一の中で何かがプツンと切れた。隆一が拳を振り上げる。そのとき、誰かが立ち上がって隆一と黒川のもとへ走った。
「はいストップストップ~」
二人の間に入り込んできたのは拓真だった。隆一の拳が止まる。隆一が「邪魔をするんじゃない!!」と拓真を怒鳴ったが、拓真は無理矢理二人を引き離した。
「とりあえず二人とも落ち着いて!!あっ一人は落ち着いてるか。えっと……柳川さん落ち着いて!!」
といって隆一を宥める。隆一はとりあえず落ち着いたのか「柳川じゃない、柳瀬だ」と呟いて素直に席につく。それを見て拓真も申し訳なさそうに席についた。
全員が再び席につき、皆の視線が黒川に集中する。そんな中でこの重い空気を一気に崩すかのように黒川が口を開いた。
「え~それでは一段落ついた所でゲームのルール説明をさせていただきます!!」
黒川以外誰も言葉を発する者はいない。隆一も黙って黒川の声に耳を傾けた。
黒川の目が鋭く光り、口元がつりあがる。
「ルールは簡単、『合言葉』を探し出してください」
