「な、吉川って高梨と仲良い?」



いつも通りの休み時間。


宇田くんの口から告げられた言葉は、バラバラになって、私の横を通り過ぎていった。


いつも通りを、いつも通りじゃなくするには十分すぎたんだ。



自分でも血の気が引いていくのがわかったし、意識は別のところにあった。



「―――ゎ、吉川?」



…たかなし。


口の中だけで呟けば、すぅ、っと苦味が広がった。


そして同時に、懐かしさと、後悔と、ほんの少しだけのあったかい気持ちが込み上げてきて、すぐに消え去った。