「はよっ」


行きのバスの中、突然の声に振り向くと、そこにはクラスメートの宇田くんがいた。



「お、はよ…」



話したことはないはずなので、少し戸惑って、でも一応挨拶は返せた。




「早いな、吉川」


「あ、うん。部室片付けようと思って…」


「そっか、偉いなっ」



宇田くんはそう言って綺麗に、本当に綺麗に笑った。





私の名前、覚えてたんだ。





その日は、そのまま学校までたわいもない話をして過ごした。