大好きです。
大好きです大好きです大好きです。
なのに、なんで貴方は他の人の名前を呼んでいるのですか?
私だけを見てくださいよ。
誰よりも貴方だけを見ているのに。
貴方は私だけを見てはくれない。
「門川」
はい、何でしょう。
やっと名前を呼んでくれましたね。
その声をどれだけ私が待ち望んだことか。
貴方は、私の名前だけ呼んでくれていればいいんです。
私の姿だけを見ていてくれればいいんです。
貴方はどうしたら、私の名前だけを呼んで、私の姿だけを見て、私の望む言葉をかけてくれるんですか?
授業も聞かず、ご飯もあまり口にせず、そのことばかり考えました。
そして、やっと答えが見つかりました。
「・・・カドカワ」
「なんでしょう」
「アイシテル」
「はい、私もですよ」
ああ、うれしい。
貴方の口からでた、私だけに贈られた言葉。
長い間、ずっと私が待ち望んできたこの瞬間。
私は、すごく幸せです。
「カドカワ、アイシテル。アイシテル。アイシテル」
「うれしいです、先輩」
ふふふっ。
もっと早く、こうしていればよかった。
先輩、もう一生離しません。
誰にも渡しませんし、あなたの声や瞳、貴方の存在そのものが私だけのもの。
絶対に誰にも渡しません。
だから、安心してくださいね?
おっと、もう食事の時間ですね。
[先輩、今食事を持ってきますね」
「カドカワ・・・、アイシテ・・・ル」
はい、分かっています。
私も先輩を愛しています。
私は一旦、食事をとりにその場を後にする。
暗い倉庫に響いていたのは、先輩の私だけへの『アイシテル』だった。