火葬場の庭にあるベンチで私は姉を見ていた。

大空へと舞ってゆく姉を…。

「カンナちゃん」

声がした方を見ると、姉の婚約者の祐司さんが立っていた。

「いやぁ…
カリナに結婚すっぽかされたと思ったよ。
いや…すぽかされたね……。」

力なく笑ったあと俯いた彼は静かに泣いた。
私も同じ様に泣いた。

『カリン。』

姉がまた私の名前を呼ぶことはもう無い。

まだ26歳だった姉。
まだウエディングドレス姿の姉を見ていない。
子供は2人欲しいと言っていた姉。




私は静かに泣き続けた。