『誰にも会いたくない』

彼は、小声で言う。

「気にしないでくださいね
 いつも、ああなんで
 どうぞ」

玄関のドアが開く音・・・

「リン、聞いてんのか?
 誰も入れんなよ」

「聞いてるよ」

立ち止まる私の手を掴む彼

「すみません
 今日は、ごめんなさい
  
 それじゃあ、また」

浬に聞こえるように大きな声で
そう言いながら彼は、指で中へ
入れと、私に合図を送った。

私は、小声で言う。

「リン君、本当にいいの?
 カイリ、怒るんじゃないかな
 
 私、出直す方が・・・」

「何度出直しても、アニキは
 貴女には絶対に会わない
 と思う

 アニキの彼女、でしょう?
 確か、モデルのアイさん

 アニキ、貴女の活躍を
 テレビで知って
 泣いて喜んでたから・・・

 さあ、アニキの部屋は
 二階だから」