「家、この辺り?
 これで
 送って行きましょうか?」

彼は、自転車を指差した。

私はまた、頭を左右に振る

藍の頬を伝う、綺麗な涙に
目を奪われる厘。

「送りますよ」

「リン
 
 家の前で女
 釣ってんじゃねえぞ」

その声に、私は涙を拭い
微笑む。

「何?

 アニキの知り合いか
 何か?」

『この中で、どれかひとつでも
 できないものがあるのなら
 ・・・・・・』

できない物等、私には無い。

私は、彼の問いかけに
頷いた・・・

「何だぁ、どおりで・・・
 こんな美人がこの辺りに
 住んでたら噂になるはず

 アニキ、お客さん
 
 どうぞ・・・」

「リン、帰ってもらってくれ
 
 今は誰にも会いたくない」