「・・・
 時間が無いと言うのに親父は
 何を悠長にしているんだ

 だから、俺は言ったんだ
 
 幾ら、あのイチヤの血を
 受け継いだ孫でも
 あんな若造に組を任せる訳
 にはいかないと

 土壇場で奴は
 逃げるかもしれない」

その言葉に、塁の顔色が変わる

「おい
 誰が、逃げるだと・・・
 
 カイリは
 そんな男じゃない」

「そうだ、兄弟
 お前だって、これまで
 親父を見てきただろう?
 
 だから
 俺達は今もここに居る」

当初は二十人程だった組員も
今では、倍、その倍へと
増え続けているのは、誰もが
浬の野望に惹かれ、彼を
慕うからである。