友達数人と賑わいながら
廊下を歩く生徒の波に
押された私は、教室の前で
身動きが取れずにいた。

教室の中に戻るにも
ドアの前へ行く事が困難で
私はただ、その場所に立ち
生徒の波が過ぎるのを一人で
ぼーっと待っていた。

そんな私の手に触れる
しっとりとした手・・・

「居た、居た
 
 アイ、行こう」

私の手を放れないように
しっかりと繋いで
彼女は私の前を歩く。

長い髪が、揺れる・・・

『アイ、行こう』

手を繋ぐ、あなたと私・・・

友達みたいで嬉しかった。